今回は京都府京都市右京区に鎮座する「猿田彦神社」をご紹介します。
全国に数多く鎮座し、道拓きの神様として名高い猿田彦神(猿田毘古神とも)を祭る神社の1社です。
「山之内庚申(やまのうちこうしん)」とも呼ばれ、「京都三庚申」に数えられます。
それでは、山之内庚申・猿田彦神社へお参りしていきましょう。
猿田彦神社(山之内庚申)の由緒
神社の創建時期は不明。
一説には、平安時代の創建と言われます。
神社に伝わる由緒では、平安時代に天台宗の開祖である最澄(さいちょう)が座禅に適した場所を探していたところ、猿田彦神が降臨なされて適地を指し示し、その地で最澄が座禅する際に座った石の傍らに猿田彦神を祀ったのが発祥と伝わります。
猿田彦神が指し示した地は現在社殿が建てられている地からやや北に位置していましたが、鎌倉時代には嵯峨天皇の命により社殿が建立され、明治年代に現在の位置に移されたそうです。
庚申(こうしん)信仰発祥の地、とも言われますが、今回はなぜこの山之内の地で庚申信仰が始まったのかまでは判明しませんでした。
猿田彦神との結びつきは、おそらく「猿」「申」の「さる」繋がりだと思われます。
ちなみに庚申(かのえざる)とは、十の干支と十二の干支の組み合わせで表される全60通りの干支(年月日)の1つです。
具体的には、①甲→②乙→③丙→④丁→⑤戊→⑥己→⑦庚→⑧辛→⑨壬→⑩癸を親干支に、我々にも馴染み深い①子→②丑→③寅→④卯…の十二支を子干支に組み合わせて1つの干支とします。
干支の進み方は親干支が1進むと、子干支も1進むので、1番最初は「甲子(きのえね)」、2番目は「乙丑(きのとうし)」となり、11番目は「甲戌(きのえいぬ)」、最後の組み合わせは60番目の「癸亥(みずのとい)」となります。
ちなみに、庚申(かのえざる)は57番目に当たります。
古代中国では、年に6回訪れる庚申の日(60日に1度)の夜に、人の体内に潜んでいる「三尸の虫」が、人間が眠ったのを確認してから天界に昇ると、天帝にその人が犯した罪を報告し、それを聞いた天帝が罪の重さに応じて人々の寿命を決めていたと言われていました。
そこで、長生きを願う人々はこの「三尸の虫」が罪を報告しに天へと昇らないよう、眠ることなく徹夜で起きていたそうです。
これが「庚申信仰」の発祥だと言われています。
日本には遅くとも奈良時代末期には定着していたようで、人々が眠気覚ましのために趣向を凝らす様が「源氏物語」や「枕草子」にも描かれています。
京都では、この庚申信仰を今でも続ける神社・寺院があり、その中でも代表的な3つの社・堂は「京都三庚申」と呼ばれます。
この猿田彦神社も「京都三庚申」の1社に数えられており、残り2つは尊勝院(粟田口庚申堂)と金剛寺(八坂庚申堂)です。
猿田彦神社(山之内庚申)へ参拝
三条通りを嵐山・太秦方面へと進んでいると、左手に見えてくるのが「猿田彦神社」です。
鳥居の手前には手水舎がありますので、ここでお清めをしましょう。
広くはない境内は、拝殿(舞殿かも?)前から全てを見渡すことが出来ます。
拝殿前には、縁日に行われる護摩木の焚き上げスペースが設けてありました。
社務所前には、樹齢700年を超すとされる「庚申楠」が立っています。
境内を覆うように枝を伸ばす庚申楠は、まるで社殿を護っているようにも見えます。
本殿
御祭神:猿田彦大神
猿田彦神が祀られている本殿です。
再建されているのか、決して古い時代に建てられた社殿ではないように見えますが、小さいながらも非常に貫禄のある社殿です。
以前、全国猿田彦社の本宗といわれる猿田彦神社(三重県伊勢市)に道拓きの祈願に参拝しましたが、今回も改めて道拓きを祈願し、二礼・二拍手・一礼にてお参りします。
※猿田彦社の本宗は、椿大神社(三重県鈴鹿市)とする説もある。
境内社・大国主社
御祭神:大国主命
本殿の左手には、大国主命を祀る社があります。
大国主様は縁結びの神様ですから、猿田彦神が拓いてくださる道と自分自身をしっかり結びつけるためにも、大国主社へも必ずお参りしておきましょう!
境内社・秋葉社、稲荷社
御祭神:秋葉明神(秋葉神社)・稲荷大神(稲荷社)
本殿の右手には、秋葉社と稲荷社があります。
私はお稲荷様にご縁のある家系ですので、いつものように稲荷社へお参りしようとしたのですが・・・。
稲荷社が無いーーー!!!
平成30年の台風21号の影響なのか、それとも単に老朽化による再建なのかは判りませんでしたが、稲荷社が基礎土台から建て直されている最中でした。
ちなみに京都では、総本山がある愛宕信仰が強く、同じく加具土命を祭っているものの、秋葉信仰の神社はあまり多くありません。
猿田彦神社で頂ける御朱印と受付時間
猿田彦神社(山之内庚申)の御朱印はコチラ。
鳥居の額に刻まれた特徴的な「猿田彦大神」の筆が入れられています。
しかしながら、猿田彦神社(山之内庚申)の御朱印は、猿田彦神社の社務所で頂くことは出来ません。
神社から南東に車で10分ほどの場所にある「西院春日神社」の社務所で頂きます。
初穂料は300円。
直書きではなく、半紙に書置きタイプで頂けます。
猿田彦神社の社務所にはその旨を知らせる案内がありますが、西院春日神社の社務所には猿田彦神社の御朱印を頂けるという案内は出ていませんので、窓口にて「猿田彦神社の御朱印を頂きたいのですが。」と直接申し出る必要がありますので、ご注意下さい。
>>西院春日神社へ参拝!摂社の還来神社にも注目!御朱印とアクセスも
かつて(2017年頃まで?)は同じく近くに鎮座する山王神社にて猿田彦神社の御朱印が頂けたそうですが、現在(2020年)では西院春日神社での授与となっていますのでご注意下さい。
なお、庚申の日のみ社務所には人がいらっしゃるそうですが、60日に1度なので都合を合わせるのは大変そうです・・・。
ちなみに西暦2020年の庚申日は、1月18日(土)・3月18日(水)・5月17日(日)・7月16日(木)・9月14日(月)・11月13日(金)の6日間となっています。
猿田彦神社(山之内庚申)へのアクセス方法
猿田彦神社(山之内庚申)へは、車の他、いずれの公共交通機関でも無理なく参拝することが出来ます。
車で参拝する場合は、鳥居をくぐった先に参拝者専用駐車場(無料)がありますので、そちらをご利用下さい。
バスで参拝する場合は、市バス「庚申前駅」か「猿田彦橋駅」で下車し、徒歩2~3分です。
電車で参拝する場合は、京福電鉄嵐山線「嵐電天神川駅」か地下鉄東西線「太秦天神川駅」で下車し、徒歩5分程度です。
最寄駅から神社までは歩道がない道もあるので、可能ならば車で参拝することをオススメします。
車で参拝すれば、その足で猿田彦神社の御朱印を頂きに西院春日神社へと参拝することも出来ます。
まとめ
✔名称
山之内庚申 猿田彦神社
✔御祭神
猿田彦大神
✔所在地
京都府京都市右京区山ノ内荒木町3
✔営業時間
元旦及び庚申日のみ 営業時間不明
✔専用駐車場
有
利用料:無料
✔御朱印
有
初穂料:300円
西院春日神社社務所にて頂く
✔アクセス方法
いずれも可
車がオススメ
✔公式ホームページ
確認出来ず。
>>西院春日神社 公式HP内 リンク「山之内 猿田彦神社」
✔その他特記事項
〇京都三庚申の1つ「金剛寺(八坂庚申堂)」は日本三庚申の1つにも数えられている
地下鉄東西線「太秦天神川駅」から、「猿田彦神社(山之内庚申)」
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