今回は、京都府亀岡市に鎮座する「走田神社」をご紹介します。
この走田神社は、木村拓哉さんが主演を務めた映画「無限の住人」(2017年公開)のロケ地としても有名です。
他にも、かつては「三匹が斬る!」シリーズや「暴れん坊将軍」シリーズでもロケ地として撮影が行われるなど、非常に趣のある境内が評判でしたが、平成30年に関西地域に甚大な被害をもたらした台風21号により走田神社の境内は壊滅的な被害を受けています。
私が初めて参拝した時は既に被害を受けた後で、復旧が進む境内の状況に驚きを隠せませんでした。
そんな走田神社へお参りしていきましょう。
走田神社の由緒
京都府亀岡市、市内を縦断する国道9号線の「農業研究所前交差点」を南に入り、道なりに真っ直ぐ進んでいくと左手に鳥居が見えてくるのは、「走田神社」です。
読み方は「はせだじんじゃ」。
神社の創建は西暦711年。
社名にある「走田(はせだ)」とは、昔、神社に奉納された立派な絵馬に描かれた馬が、夜な夜な絵馬を抜け出しては周辺を駆け回り、境内の草を食べていたそうです。
やがて、その馬の蹄の跡が窪地となり、水が流れる川へと変化していき、その川に流れる水が周辺の氏子たちの田畑を潤したことに由来しています。
つまり、馬が“馳せ”、“田”を潤すことから「はせだ」と呼ばれるようになったというわけです。
また、この川は増水時でも川音を立てないことから、「不鳴川(ならずかわ)」と呼ばれ、干ばつの時でも川は枯れる事なく田畑を潤した、と伝わります。
※「走田神社」と呼ばれるようになる以前の社名については、今回確かな情報を得ることは出来ませんでした。
しかしながら、かつて絵馬の馬が駆け回ったであろう境内は、平成30年に関西地域を襲った台風21号により、壊滅的な被害を受けました。
映画や時代劇のロケ地として何度も撮影が行われた境内は現在復旧活動が続いていますが、台風被害の爪痕が今なお色濃く残っています。
被害を受ける以前の走田神社にもぜひお参りしておきたかったな、と悔やんでも悔やみきれません。
なお、漢字表記が同じであるため京都府長岡京市に鎮座する「走田(はしりだ)神社」と混同されがちですが、創建由来や御祭神は異なりますのでご注意下さい。
ただし、長岡京市の走田神社も、初穂の水田、つまり早稲田の守護神として祀られており、「わせだ」と「はせだ」が全くの無関係であるとは言い切れないと私は考えています。
また、長岡京市の走田神社境内も、同じく平成30年の台風21号により、甚大な被害を受けています。
>>初穂の守護神、走田神社に参拝!御朱印と受付時間、アクセスも
走田神社へお参り
御祭神:彦火火出見命・豊玉姫命・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊
国道9号線から逸れ、走田神社へと向かっていると左手には鳥居、右手には50台以上は停められるのではないかと思えるほどの大きな駐車場が見えてきます。
鳥居をくぐると、すぐ左手には手水舎がありますので、こちらで口と手をお清めしましょう。
境内奥へと延びる参道は道幅十分な上に奥行があり、社務所の方のお話によれば、映画や時代劇の撮影時には乗馬シーン等でよく用いられたそうです。
参道脇には道祖神である百太夫(ひゃくだゆう)を祀る社があります。
百太夫は、平安時代には遊女が恋愛の神様として、また近年では傀儡師によって祭られた神様です。
その百太夫社を過ぎ、参道も半ばに差し掛かると、台風によって様変わりした境内が現れます。
かつては、木々の覆い繁った神聖な杜が広がっていたそうですが、今はその当時の様子をうかがい知ることは出来ません。
境内に生えていた木々は文字通り根こそぎ倒れ、残された切り株は風に煽られたであろう方向へと傾いてしまっています。
すぐ脇には境内で倒木した木の中でもとりわけ大きかった、樹齢約280年の木を利用したチェーンソーアートもありました。
社名の由来にあやかって、立派な馬が彫られています。
そんな台風の爪痕が色濃く残る境内には、稲荷社が祀られています。
この稲荷社も台風の被害を受け、台風通過直後には稲荷社へと向かうこともできないほど、倒れた木々に覆われたそうです。
私はお稲荷様にご縁のある家系ですので今回もご挨拶したのですが、社の修復こそ進んでいるものの、傾いてしまった社殿に改めて自然の恐ろしさを実感します。
本殿に到着しました。
本殿周辺も台風の被害は見受けられるものの、幸い社殿に大きな損害はなさそうに見えます。
社殿の左右に摂社があり、左手は大黒主様、右手には経津主様がそれぞれ祀られています。
本殿へと向かう道の左右には苔が青々と生えていました。
しかし、苔は湿気の多い日陰でこそ成長する植物ですから、現在のように日光を遮る木々が倒れてしまい、このまま日当たりが良い状況が続いてしまうと、この苔たちもいずれは消えてしまうかもしれません。
本殿は歴史を感じる立派な社殿です。
走田神社の復興を祈りながら、二礼・二拍手・一礼にてお参りします。
お参りを済ませて本殿周辺をぐるりと周ってみると、壁の向こうには被害を受けた境内が見えます。
また、本殿の手前には弁財天様を祀る社があります。
この弁財天社に向かって伸びる小さな川こそが、絵馬の馬が跡に出来た川「不鳴川」だそうです。
こちらは境内奥に流れる不鳴川本流から引き入れた支流だそうですが、本当に川音を立てない静流で、社務所の方によると、氏子の方でさえもどこに不鳴川本流があるのか知らない人もいるほどだそうです。
その傍らには、切り株から葉を出すイチョウの木がありました。
こうして新しい芽が出て、成長し、やがて再び以前のような杜へと何百年もかけて戻っていくのを想像すると、私も頑張らねば!と思うのと同時に、人の一生がなんと儚いものであるかを実感させられます。
自然の脅威を目の当たりにし、何とも言えない気持ちで走田神社を後にします。
なお、>>コチラの玄松子(げんしょうし)さんという方が書いたブログでは、かつての走田神社の姿を拝見することが出来ます。
走田神社で頂ける御朱印と受付時間
今回、走田神社で頂いた御朱印はコチラ。
一の鳥居横の立派なかやぶき屋根の社務所にて頂きます。
特に窓口などは設けられていませんので、呼び鈴を鳴らして御朱印を頂きたい旨をお伝えください。
ただし、宮司さんのご自宅も兼ねているそうですので、ご不在の場合は日を改める必要があります。
初穂料は300円だそうですが、今回は復興のお手伝いになればと、お気持ちをお渡ししました。
それにしても立派な社務所です。
走田神社へのアクセス方法
走田神社へは、車かバスでの参拝がオススメです。
車で参拝する場合は、参拝者専用駐車場(無料)がありますので、そちらをご利用下さい。
バスで参拝する場合は、京阪京都交通「国道穴川駅」下車、徒歩10分程度です。
電車で参拝する場合、最寄りの駅はJR嵯峨野線「亀岡駅」ですが、駅から徒歩で向かうと40分近くかかるため、亀岡駅南口発着のバスに乗り換え、京阪京都交通「西口駅」で下車し、徒歩10分程度です。
まとめ
✔名称
式内社 走田神社
✔御祭神
彦火火出見命
豊玉姫命
彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊
✔所在地
京都府亀岡市余部町走田1
✔営業時間
年中無休
✔専用駐車場
有
利用料:無料
✔御朱印
社務所にて頂く
初穂料:300円
✔アクセス方法
車・バスで可
バス:京阪京都交通「国道穴川駅」もしくは「西口駅」下車、徒歩10程度
✔公式ホームページ
確認出来ず
✔その他特記事項
〇社務所は宮司さんの自宅も兼ねるので、常識の範囲内での訪問を
JR嵯峨野線「亀岡駅」から、「走田神社」
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