今回は京都府長岡京市にある、眼の病気に御利益があると言われる柳谷観音、「楊谷寺」の本堂周辺をご紹介します。
楊谷寺は境内が広く、見所が数多くあるお寺です。
とても1度では紹介しきれないので【本堂周辺編】・【奥之院周辺編】に分けてご紹介していきます。
楊谷寺は天皇家との繋がりも古く、その創建由来から「西の清水」とも称されます。
境内には様々な御利益を授かることが出来るお堂が沢山あり、更には境内中腹に神社である稲荷社が建てられているなど、珍しい寺院となっています。
そんな楊谷寺へお参りしていきましょう!
柳谷観音・楊谷寺とは
京都府長岡京市、かつて平安京が成立する直前まで都が置かれていたこの土地には長い歴史を持つ寺院や建造物が数多く存在しています。
その中の1つ、紅葉でも有名な「京都西山三山」に数えられるのは、西山浄土宗の寺院、「楊谷寺」です。
読みは「ようこくじ」。
紅葉で有名なお寺ですが、近年では紫陽花(あじさい)でも有名になりつつあります。
開山は西暦806年。
京都・清水寺の開祖である延鎮がこの地に開山したとされる寺院です。
ある夜、延鎮が夢でこの地を訪れるべしという啓示を受け、実際に訪れてみると、山林の谷間に十一面千手千眼観世音菩薩の御姿を見つけます。
そこで、この地に草庵を建て、その観世音菩薩を安置したのが楊谷寺の発祥だと伝わります。
「西の清水」と呼ばれる由来は、開山した僧が同一人物だったことからきているようですね。
また、かの弘法大師・空海もこの地に幾度となく修行に訪れ、その際に本堂脇から湧き出る水で眼の潰れた子猿の目を懸命に洗う親猿の姿を見かけます。
そこで、空海はその猿の為に御祈祷を行います。
すると、なんと子猿の目が治り、再び子猿は日の目を見ることができるようになった、という逸話があります。
このことから、その湧水は独鈷水(おこう水)として世に広く知れ渡るようになり、眼病に効く水として天皇家も訪れるなど、公家との繋がりも増えていきます。
残念ながら、親猿が子猿の潰れた目を洗っていたとされる湧水へは、清掃中の為に立ち入る事が出来ませんでしたので、今度は雪の積もった真冬の季節に行ってみたいと思います。
傍らには弘法大師・空海の銅像も建っていました。
現在では、眼病治療としての参拝はもちろん、春は桜、初夏には紫陽花、秋は紅葉、冬は雪景色と、1年を通してその四季の移り変わりを目で感じることが出来る貴重な寺院として、参拝客が後を絶ちません。
境内には御本尊・十一面千手千眼観世音菩薩をはじめ、不動明王、愛染明王、弁財天にお稲荷様など、多岐にわたる神仏を祭るお堂や像、社が建ち、境内を隅から隅までじっくり見て回るには、半日近くかかるでしょう。
楊谷寺へお参り【本堂周辺編】
長岡天満宮から南西に約4km。
対向車とすれ違うのにも多少苦労する細い山道を登ると、その先に楊谷寺はあります。
左手に立ち並ぶ数多くの献灯と、大きな看板が目印です。
山門前と第1から第3までの4つの専用駐車場が用意された楊谷寺へは、車でのアクセスが絶対にオススメ。
駐車場に車を停め、参道に向かいます。
参道の奥に見えるのは、楊谷寺の山門。
山門へと向かう階段が見えてきました。
今回、楊谷寺へお参りしたのは12月1日。
「紅葉ウィーク」と銘打たれた特別観覧会では、拝観料1000円で京都府指定名勝「楊谷寺庭園」を観覧できる上書院・天皇家から下賜された品々が保管されている寺宝庫も観覧出来ます。
通常期は拝観無料であり、紅葉の季節のみ、通常拝観料300円を収めます。
階段脇には楊谷寺全景図がありました。
この案内図を見たときは、再びこの場所に戻ってくるのに2時間もかかるとは思いもしませんでした。
そう、案内図や外観からは分かりにくいのですが、とにかく楊谷寺の境内は広大なのです。
今回はそのうち、本堂周辺をご紹介します。
燃えるような紅に染まる紅葉を横目に、まずは山門にて一礼します。
山門をくぐると、仮設テントにて係りの人から通常拝観か特別拝観かを尋ねられます。
もちろん、せっかくなので名勝「楊谷寺庭園」を特等席から観覧できる特別拝観を選択。
拝観料1000円を収めて、境内へ足を踏み入れます。
山門のすぐそばに手水舎があるので、そこで手のお清めをしようとしたのですが、なにやら手水舎には人だかりが。
参拝客が順番待ちをしているのかと思い、自分の順番が来るまで待っていると・・・。
なんと手水舎には水中活花が!!
私には花の知識が全く無いのですが、まるで水面に花の映像が映し出されているのかと錯覚するような見事な活花です。
人だかりが出来ていたのは、この水中活花のフォトジェニックな写真を撮ろうと、参拝客が押し寄せていたからでした。
私もついついお清めを忘れてしまいそうになるほど、この手水舎に見入ってしまいました。
お花を傷つけないよう、縁の方の水を柄杓をすくい、お清めをします。
手水舎後ろには釣鐘があり、1回50円で鐘を突くことが出来ます。
本堂も山門のすぐ目の前。
本堂入口にある常香炉で線香の煙を浴び、体と心を清めます。
靴を履いたまま本堂へと足を踏み入れ、静かな心で御本尊である観音様に日頃の感謝と反省、お願い事をお伝えします。
御本尊へのお参りが済んだら、本堂横の名勝「楊谷寺庭園」へと続く廊下へと歩を進めます。
ここからは靴を脱ぎ、用意されている靴用ビニール袋に入れて持ち歩きます。
楊谷寺庭園へと続く廊下には、山門の手水舎に続いてまたもフォトジェニックな場所があります。
写真手前の小さな手水舎には、七色に変化していく紅葉が浮かべられています!
これは女性受けが良さそう!!楊谷寺、意外とデートコース向きかもしれません。
そして廊下を抜けると待ち受けているのは、「楊谷寺庭園」。
全部で13ある岩には、それぞれ仏様が祀られており、説明図も描かれていました。
廊下を進むと、今度は水面に紅葉でハートマークが形どられた小手水舎が。
うん、これはやっぱりデートコースに持って来いだ!
そして、そのお庭から見えるのは、楊谷寺の上書院。
庭園横の階段通路から上書院へと向かいます。
この上書院へは通常、毎月17日の午前中のみ500円で公開されています。
加えて、ゴールデンウイークと紅葉の季節は10時~15時の公開となり、紅葉の季節は800円で公開されています。
上書院の受付で特別拝観券を見せ、上書院の2階にあがると、そこから見える楊谷寺庭園はまさに格別の一言。
ちなみにこの上書院2階の床の間には、江戸時代後期に活躍したと言われる酒井抱一(さかいほういつ)の作品「蝶秋草図」の掛軸がひっそりと掛けられています。
楊谷寺庭園の素晴らしい景観に気を取られがちですが、こちらも大変貴重な作品ですので、見逃さないよう注意して下さいね!
ちなみに私はうっかり見逃して上書院を出ようとしてしまい、もう1度箱階段を登って掛軸だけを見に行くという、ちょっと恥ずかしい思いをしました(笑)
※上書院2階へと続く箱階段
ちなみに、この上書院は、映画「日本のいちばん長い日」のロケ地としても有名です。
役所広司さん演じる陸軍大臣、阿南惟幾が自決するシーンに用いられました。
作中ではお寺としてではなく、宿泊先の一室としてや、昭和天皇に謁見する間としても登場していましたね!
上書院を出ると、右手に楊谷寺奥之院へと続く細い通路がありますが、今回はここまでのご紹介となります。
楊谷寺で頂ける御朱印と受付時間
柳谷観音・楊谷寺で頂ける御朱印はコチラ。
とにかく種類が沢山!!!
中には期間限定の御朱印も含まれていますが、そもそも境内に建つお堂・社の数が多いため、1つ1つ頂くだけでも5種類は優に超えます。
その中で今回私が頂いたのは、本堂・令和天皇即位記念御朱印。
令和天皇が御即位されたことを記念して授与されている、令和元年限定の御朱印です。
400円を納めて頂いた御朱印には、皇室ゆかりの花である菊に楊谷寺の朱印、そこに「柳谷大悲殿」の筆が入れられています。
ちなみに「大悲殿」とは、観音菩薩様(大悲)が安置されている場所(殿)を示す言葉です。
御朱印は寺書院の受付にて頂くことが出来ます。
また、御朱印の受付時間は書院受付の開いている9時~17時までとなっていますので、ご注意下さい。
楊谷寺へのアクセス方法
楊谷寺へのアクセスは車がオススメ。
というか、車以外でのアクセスはオススメ出来ません。
楊谷寺へ向かう山道がとても狭いため、かつては楊谷寺へと続く電車の線路を敷く計画もあったそうですが、実現していませんし、シャトルバスの運行もありますが、その運行は縁日である毎月17日のみとなっています。
電車で向かう場合は、阪急「長岡天神駅」・JR「長岡京駅」から徒歩で5km近く山道を歩かなければなりませんので、到着後、歩いて回る楊谷寺境内の広大さを勘案すると、とてもオススメ出来ません。
車でのアクセスが不可能な場合は、タクシーを利用すると良いでしょう。
土日祝日であれば、山門駐車場にタクシーが数台待機しているそうなので、帰りの足に困ることはなさそうです。
まとめ
☑名称
西山浄土宗 立願山 楊谷寺
☑御本尊
十一面千手千眼観音菩薩
☑所在地
京都府長岡京市浄土谷2
☑営業時間
年中無休 9時~17時
☑専用駐車場
有
利用料:無料
駐車スペース:第1~第3と山門前に4ヶ所、計100台以上
御朱印
寺務所(書院受付)にて頂く
朱印代300円
オリジナル御朱印帳あり
☑アクセス方法
車のみ可
ただし毎月17日は最寄り駅からバスの運行有
☑公式ホームページ
>>柳谷観音・楊谷寺 公式HP
☑特記事項
眼病平癒、夫婦円満(愛染堂)、子授け・安産(奥之院)、先見の明(眼力稲荷)などに御利益
境内拝観には時間に余裕を
花手水は必見
JR「長岡天神駅」から「楊谷寺」
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