今回は、京春日の別称でも有名な「大原野神社」をご紹介します。
大原野神社は、長岡京遷都の際、藤原氏の氏神である奈良県・春日大社から勧請を受けてこの地に祀られた由緒ある神社です。
「源氏物語」の作者として知られる紫式部の氏神としても有名です。
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近くには「花の寺・勝持寺」や「石の寺・正法寺」もあり、桜の季節や紅葉の季節になると非常に多くの参詣者で賑わいます。
そんな大原野神社へお参りしていきましょう。
大原野神社へお参り
京都府京都市は西京区。亀岡市方面と向かう国道9号線から西に入り、山間に向かって狭い道路を進んでいくと右手に見えてくるのは、洛西の名社「大原野神社」です。
読みは「おおはらのじんじゃ」。
神社の創建は西暦784年。
平城京から長岡京へと遷都される際に、桓武天皇の后であった藤原乙牟漏(ふじわらのおとむろ)が藤原氏の氏神である奈良県に鎮座する春日大社の分霊を祀った(勧請)のが発祥だと伝わります。
京都には他にも春日大神の分霊を祭った著名な神社があります。
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西暦794年に長岡京から平安京へと遷都された後でも、朝廷から厚い殊遇を受けたとされる二十二社に数えられ、更に信仰を集めることになります。
鳥居をくぐり、参道へと足を踏み入れます。
今回参拝に訪れたのは12月。
紅葉の散り始めた参道は、紅葉の美しさと共に、季節の移り変わりを知らせる侘しさを感じます。
石階段を登ると、本殿までは一直線。
この参道は季節によって大きくその様子が変わりますので、是非とも色んな季節に参拝に訪れ、その時々で見せる大原野神社の姿を見て頂きたいと思います。
私はこの大原野神社を含め、出雲大神宮(京都府亀岡市)と下鴨神社(京都府京都市)の三社へと毎年初詣に行きます。
というのも、私は福岡県の出身なのですが、地元では「三社参り」という風習があるからです。
関西地域へと移り住んでからはあまり聞かない風習ですが、九州地方では古くから根付いた文化です。
これはお正月に県内に鎮座する三社の神社へ初詣に行く風習なのですが、お参りする三社が特別に指定されているわけではなく、各家庭によってお参りする三社は様々です。
福岡三社参りでは「筥崎宮・宮地嶽神社・太宰府天満宮」が代表的なのですが、私の実家では「太宰府天満宮・宗像大社・宇美八幡宮」の三社にお参りしていました。
小さい頃は、この三社でそれぞれおみくじを引くのがとても楽しみだったのを覚えています。
あなたもぜひ、昨年のご加護のお礼と、今年1年の無事を祈願をしに、ご縁のある神社を三社、初詣に訪れてみてはいかがでしょうか?
少し話が逸れてしまいましたが、私にとっても非常に縁が深い大原野神社の長い参道には、見所が幾つかあります。
まず最初に右手に見えてくるのは、休憩処と鯉沢の池です。
鯉沢の池は、大原野神社を厚く信仰した分徳天皇によって西暦850年に社殿と共に築造されました。
春日大社と同じく、藤原氏の氏寺である興福寺の「猿沢の池」を真似て造られたと伝わります。
ちなみに鯉沢の池は、この池へと流入する川が無く、地底からの湧水と雨水のみで形成されています。
その鯉沢の池の向かいには、瀬和井(せがい)の清水もあります。
清和天皇の産湯にも使われたとの逸話が残るこの瀬和井の清水は、数多くの著名な歌人の詩に登場します。
「大原や せがいの水を 手にむすび 鳥は鳴くとも 遊びてゆかん」(大伴家持)
※鷹狩りの途中で大原野の瀬和井の清水を手にすくってみる。その時どこかで鷹が鳴いたが、私はもう少し瀬和井の清水を眺めていよう(私訳)
「夜を寒み せがいの水は氷るとも 庭燎は春の こゝちこそすれ」(大江匡房)
※身に染みる夜の寒さは、瀬和井の清水も凍ってしまうほどだが、こうしてかがり火に当たっていると春が訪れたようにも感じる(私訳)
また、平成30年に関西地域を襲った台風21号の爪痕は、この大原野神社にも残っています。
境内にはその修繕協力を請う看板も設置されていました。
そしてこの参道からは、花の寺・勝持寺の参道へと繋がっている脇道もあります。
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勝持寺も大原野神社に劣らず、桜や紅葉の美しいお庭が有名ですので、ぜひ参拝して頂きたい寺院です。
社殿が見えてきました。
鳥居の左手には手水舎がありますので、ここで手のお清めをしましょう。
神社の手水舎では龍の口などから水が出るところが多いのですが、大原野神社は奈良・春日大社の分社ですから、鹿が咥えた巻物から水が出るようになっています。
ちなみに、参道脇に建ち並ぶ石燈籠にも鹿が描かれているのに気付きましたか?(笑)
角の生えた牡鹿が、猛々しく振り返っている様子が描かれています。
本殿に到着しました。
いまだ台風被害の爪痕が残る本殿にて、二礼、二拍手、一礼にてお参りします。
本殿脇には、狛犬ならぬ狛鹿があります。
それぞれ牡鹿と雌鹿なのが確認できますが、後ろに写る社殿修復中のブルーシートが台風被害の大きさを物語っています。
その他ギャラリー
大原野神社で頂ける御朱印と受付時間
大原野神社で頂ける御朱印はコチラ。
初穂料は300円。
京春日の筆に、仲睦まじい様子の牡鹿と雌鹿のスタンプも確認できます。
御朱印は社務所で頂くことが出来ますが、受付時間は社務所が開いている9時~17時となっていますのでご注意下さい。
また、大原野神社オリジナル御朱印帳も頂くことが出来ます。
猛々しい鹿角が描かれたカッコイイ御朱印帳とデフォルメされた鹿が描かれた可愛らしい御朱印帳の2種類が確認出来ました。
大原野神社へのアクセス方法
大原野神社へは、車でのアクセスがオススメです。
車で参拝する場合は、鳥居の奥に参拝者専用駐車場(有料:1日500円)がありますので、そちらをご利用下さい。
鳥居の向かいには、石の庭園で有名な「石の寺・正法寺」があります。
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公共交通機関では、バスでの参拝も可能です。
バスで参拝する場合は、市バス・阪急バス共に「南春日町駅」下車、徒歩10分程度です。
ただし、バス停から大原野神社までは勾配のある道路を歩かなければならず、隣接している勝持寺と正法寺にもぜひ立ち寄って頂きたいので、到着後に歩きまわることを考えると、車でのアクセスをオススメします。
車が無い方は、多少交通費が高くなってもタクシーでの参拝をオススメします。
まとめ
✔名称
二十二社 大原野神社
✔御祭神
武御賀豆智命(武甕槌命)
伊波比主命(経津主命)
天之子八根命(天児屋根命)
比咩大神(比売神)
✔所在地
京都市西京区大原野南春日町1152
✔営業時間
年中無休 9時~17時
✔専用駐車場
有
利用料:500円(乗用車)
✔御朱印
社務所にて頂く
初穂料:300円
オリジナル御朱印帳あり
✔アクセス方法
車・バスが可
ただし車での参拝がオススメ
バス:市バス・阪急バス「南春日町駅」下車、徒歩10分程度
✔公式ホームページ
>>大原野神社 公式HP
✔その他特記事項
〇大原野神社は二十二社にも数えられ、紫式部の氏神でもある
〇瀬和井の清水は様々な著名な歌人の詩に登場する
〇奈良・春日大社の第一分社で「京春日」の異名を持つ
「大原野神社」
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