今回は、京都府南丹市に鎮座する日本最古の天満宮、「生身天満宮」をご紹介します。
生身天満宮は国内で唯一、菅原道真公が生前のうちに道真公を御祭神として祀った天満宮として有名です。
天満宮といえば、福岡県太宰府市に鎮座する「太宰府天満宮」が全国的にも著名ですが、“天満宮巡り”をするのであれば、この生身天満宮を訪れないわけにはいかないでしょう。
また、余談になりますが、天神信仰発祥の地として有名な、同じく京都府にある「文子(あやこ)天満宮」も、ぜひ参拝に訪れておきたい天満宮の1社です。
>>天神信仰発祥の地、文子天満宮へ参拝!御朱印の受付時間とアクセスも
それでは生身天満宮へとお参りしていきましょう。
生身天満宮の由緒
京都府は南丹市。亀岡市を抜けて丹波方面へと続く国道9号線、JR嵯峨野線「園部駅」の裏手に鎮座するのは日本最古の天満宮「生身天満宮」です。
読み方は「いきみてんまんぐう」。
ついつい「なまみ」と読んでしまいそうになりますが、正しくは「いきみ」ですのでご注意下さい。
天満宮の創建は、まさに菅原道真公が太宰府へと流された年である西暦901年。
太宰府へと流される際、菅原道真公はこの園部地域の代官であった「武部源蔵(たけべげんぞう)」に自身の八男を託します。
道真公の御子の養育を頼まれた武部源蔵は、園部にあった菅原道真公の邸宅内に小さな祠を建て、そこで密かに道真公を祀って生祠としたのが発祥と伝わります。
道真公が存命中のうちからお祀りしていたことから「生身(いきみ)」と称するそうです。
その後、太宰府において道真公が失意のうちに亡くなると、その生祠を霊廟として扱うようになり、創建から約半世紀後の西暦956年には、改めて神社(天満宮)としてお祭りするようになったそうです。
なお、創建当時から今現在に至るまで、生身天満宮の宮司は創建者である武部源蔵の子孫が務めています。
生身天満宮へお参り
京都府南丹市、のどかな緑が広がる園部町のほぼ中央。
国道9号線を東へ入り、京都伝統工芸大学校を過ぎた最初の交差点を北に入ると右手に見えてくるのが「生身天満宮」です。
杉の木が立ち並ぶ参道は荘厳な雰囲気に包まれており、歴史を感じることが出来ます。
ただし、スギ花粉の季節は花粉症の人には本当にツラい場所となりますので、参拝時期には十分ご注意下さい。
一の鳥居をくぐって参道へと足を踏み入れると、右手には梅の苑が広がっています。
今回参拝に訪れたのは12月でしたので、もちろん梅の花を見ることは出来ませんでしたが、季節になるとこのように天満宮ならではの梅の花を楽しむことが出来ます。
生身天満宮の参道には、他にも沢山見どころがあるのですが、まずは本殿にてお参りを済ませましょう。
参道に続く石階段を登りきると、左手に二の鳥居があります。
鳥居のすぐ横には手水舎もありますので、ここで口と手をお清めしましょう。
二の鳥居の奥に見えるのは舞殿です。
何か祭事が執り行われるのでしょうか?舞殿では忙しそうに準備をされる方々がいらっしゃいました。
右手には工事中の神楽殿も見る事が出来ます。
本殿は舞殿の奥にあります。
菅原道真を生前からお祀りしていると伝わる最古の天満宮へ、二礼・二拍手・一礼にてお参りします。
本殿の周りは周回路になっており、お百度参りをすることも出来ます。
本殿横には菅原道真公の使者である牛の像もあります。
この牛の像は西暦1860年に生身天満宮へと奉納されたものだそうです。
境内奥には末社も五社確認出来ました。
写真左から順に、金比羅神社・稲荷神社・老松神社・白太夫神社・紅梅神社がそれぞれ祀られています。
また、参道途中には摂社としても稲荷神社が祀られていますので、お稲荷様にご縁のある方は、そちらへもお参り下さい。
境内の裏手に建てられている鳥居には、生身天満宮を創建した「武部源蔵」の子孫の方と思しき名前が刻まれていました。
菅原道真公が、いかにこの武部家から慕われていたのかをうかがい知ることが出来ます。
摂社・皇大神宮
御祭神:天照大御神・豊受大御神
参道の石階段を登り切った突き当たりには、伊勢神宮遥拝所である「皇大神宮」があります。
神社としては珍しく西向きに建てらているのですが、これはこの地から三重県・伊勢神宮の方角へと拝む為です。
※神社の多くは南向きに建てられており、これは「天子南面す」という風水による習わしで、太陽に向かって座することが原則であるというのが一般的な理由のようです。特に、北向き神社となると、大國魂神社(東京都)など、非常に社数が限られます。
摂社・秋葉愛宕神社
御祭神:火之迦具土大神・愛宕大権現
皇大神宮の奥には、秋葉神社と愛宕神社が合祀された秋葉愛宕神社があります。
どちらの神社も、古来より火除けの神様である火之迦具土大神を祀ってきた神社です。
伝承には、かつてこの生身天満宮境内が火災に見舞われた際、このお社の目前で火の手が止まって立ち消えたと言われています。
火除けの神様ならではの逸話ですね!
私も愛宕神社総本山(京都府)へは未だご挨拶したことが無いので、ぜひとも参拝したい神社の1社です。
摂社・厳島神社
御祭神:狭依姫命
神仏習合により、弁財天と同一視されるようになった狭依姫命が祀られています。
写真では少し分かりにくいですが、弁財天社らしく、水に囲まれて鎮座しています。
この社の創建は西暦845年であり、生身天満宮が創建される以前よりこの地において祀られていた地主神だそうです。
生身天満宮の創建後に、改めて摂社として祀られたと伝わります。
なお、この狭依姫命はその御姿が大変美しいと伝わる女神で、この摂社は女性が参拝すると美人になると言われており、美人祈願のパワースポットとして注目を集めています。
摂社・武部源蔵社
御祭神:武部源蔵
参道の右手に広がる梅の苑と反対側に続く脇道を進んでいくと、そこには生身天満宮を創建したと伝わる「武部源蔵」を祀る摂社があります。
菅原道真公の八男の養育を任された武部源蔵は、御子である「慶能」を匿い育てます。
日本三大歌舞伎「菅原伝授手習鑑」には、武部源蔵と慶能が登場人物として描かれており、その中でも人気演目である「第四段・寺子屋の段」は、まさに生身天満宮の由緒をなぞらえて戯曲化した物語であると考えられています。
社の横には御祭神でもある武部源蔵のお墓も建てられています。
また、武部源蔵社へと向かう途中には、園部で生まれ育った陸軍大将・田中弘太郎の生誕地碑もあります。
生身天満宮で頂ける御朱印と受付時間
生身天満宮で頂ける御朱印はコチラ。
初穂料は300円。
「日本最古」の印が目立ちますね!
御朱印は本殿横の社務所にて頂くことが出来ます。
なお、受付時間は社務所が開いている時間のみとなりますので、ご注意下さい。
また、オリジナル御朱印帳も2種類頂くことが出来ます。
どちらも魅力的な御朱印帳で、帰りの際、最後の最後まで購入を悩みました。
特に写真右手の木製表紙の御朱印帳は、シンプルなデザインの中に趣が感じられます。
生身天満宮へのアクセス方法
生身天満宮へは、車か電車でのアクセスがオススメです。
車で参拝する場合は、一の鳥居の前に20台程度駐車可能な参拝者専用駐車場がありますので、そちらをご利用下さい。
電車で参拝する場合は、JR嵯峨野線「園部駅」で下車、徒歩20分程度です。
駅からは、園部天神山を挟んで反対側に生身天満宮が鎮座しているため、整備された道ではあるものの傾斜がきつく、徒歩で向かうと予想以上に疲れるかもしれませんので、ご注意下さい。
まとめ
✔名称
生身天満宮
✔御祭神
菅原道真
✔所在地
京都府南丹市園部町美園町1号67番地
✔営業時間
参拝自由
✔専用駐車場
有
利用料:無料
✔御朱印
社務所にて頂く
初穂料:300円
オリジナル御朱印帳:2種類
✔アクセス方法
車・電車で可
✔公式ホームページ
>>生身天満宮 公式HP
✔その他特記事項
〇国内で唯一、菅原道真の生前からお祀りしていた日本最古の天満宮
JR嵯峨野線「園部駅」西口から、「生身天満宮」
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