今回は京都府亀岡市に鎮座する、癌封治・健康長寿に御利益があると言われている薭田野神社をご紹介します。
亀岡市は、京都市内から国道9号線を西に進み、大枝山(老ノ坂街道)を越えた先にある都市です。
天下の大逆人と呼ばれた明智光秀のお膝元として有名ですが、京都市内に負けないほど歴史の古い、地域の住民から愛されている神社・寺院が数多く存在しています。
そのうちの1社、薭田野神社へお参りしていきましょう
薭田野神社へお参り
京都府亀岡市、片側1車線の国道9号線を西進し、道の駅・ガレリアかめおかを過ぎてから2つめの信号「余部交差点」を左折。
そのまま細い住宅街を直進していると、右手に鳥居が見えてくるのは癌封治・健康長寿に御利益があると言われている「薭田野神社」。
読みは「ひえだのじんじゃ」。
神社の創建は西暦709年。
日本国内において平城京が成立し、奈良時代が始まる1年前に創建されたこの神社は、五穀豊穣の護り神として保食命(うけもちのみこと)・大山祇命(おおやまずみのみこと)・野椎命(のづちのみこと)の三柱を祀ったのが発祥だと伝わります。
さらに時代を遡ると今から約3000年前、紀元前1000年頃(中国の儒家・孔子が生まれるよりさらに500年程前)にこの地に移り住んだ人々が現在の社殿裏の土盛りで五穀豊穣・子孫繁栄の祈りを捧げていたことがルーツだとも言われます。
鳥居をくぐるとすぐに目の前に、10台ほどが駐車可能な砂利の参拝者専用の駐車場があります。(無料)
参拝者専用駐車場のすぐ後ろが境内入口となっており、車で参拝するには都合が良いでしょう。
東側にも鳥居があります。
まずは、手水舎でお清めをします。
手水舎はかけ流しタイプではなく、現代風に押しボタン方式となっており、ボタンを押すと龍の口から水が出てきます。
その脇には、薭田野神社参拝の順路を分かりやすく解説している参拝順路図が置いてありました。
せっかくなので、今回はこの参拝順路図に沿って薭田野神社をご紹介していきたいと思います。
ちなみに順路①は手水舎となっています。
順路②「石の輪」
手水舎のすぐ隣には、本殿へと向かう通路に大きな石の輪が置かれています。
古来、日本では石や藁で編んだ輪をくぐり、神力を授かるという風習がありますので、それにちなんだ石の輪だと考えられます。
順路③「京式八角石燈籠」
かつて平安時代以前に造られた石燈籠の土台は八角形が主流でした。
しかしながら鎌倉時代に入ると、次第に六角形の土台が主流となっていき、八角形土台の石燈籠は徐々に数が減ってしまいます。
現存するのは奈良県・春日大社などで見られる数基のみとなっており、非常に貴重な石燈籠となっています。
その八角石燈籠が、この薭田野神社にも社殿内に1基のみ残っており、その姿をこの目で確認することが出来ます。
ちなみコチラはその八角石燈籠の手前に建てられた六角石燈籠です。
確かに土台の造りが違うのが分かりますね!
順路④本殿
薭田野神社の本殿です。
賽銭箱には、お参りの作法が記された解説図があり、あまり神社に参拝しない人でも作法を間違えることなくお参りすることが出来ます。
あまり人から教えて頂けるものではありませんので、こういった心遣いは嬉しいですね!
お賽銭を投げ、二礼、二拍手、一礼にてお参りします。
順路⑤摂社・春日神社
社殿の壁越しにではありますが、奈良県に鎮座する春日大社の摂社にお参りします。
順路⑥本殿礎石
鎌倉時代の薭田野神社本殿の礎石を拝観します。
礎石(そせき)とは、社殿の柱の下にある石のことで、いしずえ、と言えば概ねその意味が理解できると思います。
その礎石の奥には、江戸時代に造られた常夜燈も観ることが出来ます。
順路⑦健康の庭・長寿の滝
世界で1番短い滝とされる(薭田野神社説)長寿の滝と、かつてこの地に移り住んだ人々が崇め奉った土盛りのある健康の庭です。
残念ながら、健康の庭(鎮守の森)へは環境保全地区に指定されているため、一般の人は立ち入ることが出来ません。
その目で3000年前からあるという土盛りを見てみたかったのですが、これは仕方ありませんね。
順路⑧気力石
長寿の滝のすぐ横には、気力石があります。
この気力石には、白い蛇の親子が寄り添う姿が模様に現れています。
この石に手を当てて、気力を頂くことで何事も最後までやり通す力を授かることが出来ます。
私もやりがいを感じていない今の仕事を、なんとかやり通すことが出来るよう、祈りを込めて石に両手を当てます。
まぁ、転職せずに今の仕事を続けて良いのかは、この際考えないことにしましょう(笑)
順路⑨和銅禊の池
境内を奥に進むと、鯉が泳いでいる小さな池があります。
神社創建当時に、この池で禊を行っていたと伝わります。
現在では、手を水に浸けることで禊をしたことになるそうです。
個人的に何度かこの薭田野神社へは参拝しているのですが、今回参拝したのは12月に入ってからでしたので、禊の池周辺の紅葉が散り始めていました。
もう少し早く参拝していれば綺麗な紅葉を観ることが出来たかもしれません。
順路⑩稗田阿禮社
和銅禊の池を周回する小さな周回路途中には、日本に現存する最古の歴史書である「古事記」の編纂者の1人として有名な稗田阿礼を祀った社があります。
今回、薭田野神社境内に稗田阿礼を祀る由来を知ることが出来ませんでしたが、稚推するに、薭田野(ひえだの)と稗田(ひえだの)阿礼の読みに繋がりを見出して祀ったのではないかと思います。
ちなみに古事記成立が薭田野神社創建からわずか3年後の西暦712年なので、薭田野神社と稗田阿礼が全く縁が無い、とは言い切れないのも関係しているかもしれません。
文学を志す人や、日本古記の研究をする人には是非とも立ち寄って頂きたい社です。
社の向かいには「不屈亀」の像もあります。
順路⑪摂社・ゑびす神社
商売繁盛の神様・恵比寿神が祀られている社です。
商売繁盛の他にも家内安全にも御利益があるとか。
順路⑫幸魂奇魂の魂石
ゑびす神社のすぐ横にあります。
すみません、正直に言うと、この魂石のことはよく分かりませんでした・・・。
説明書きを読んでもイマイチピンと来るものが無くて、どう説明したら良いか言葉に詰まります(笑)
順路⑬癌封治瘤の木
この薭田野神社が癌封治に御利益があると言われている由縁でもある、癌の瘤を持つ木にお参りします。
その歴史は比較的新しく、戦後数年が経った頃の話です。
薭田野神社の近くに住む植物学者が薭田野神社境内に立つ、この植物癌に罹った木を見つけます。
癌に罹った木は全国でも非常に珍しいそうで、その植物学者は当時の薭田野神社宮司に「こんなものが神社の境内に生えているということは、きっと人間を助けてくれるのだと思う。癌が心配な人は、一心に祈りながらこの瘤をなでることです。」と伝えます。
それを聞いた宮司はこの言葉を板に記し、参拝に訪れる人々に知らせたことから、薭田野神社が癌封治に御利益があると言われるようになったそうです。
実際にこの目で瘤が出来ている部分を見て来ましたが、確かに他の木とは瘤の部分が変質してしまっています。
私も祖父を癌で亡くしましたので、少しでも癌で苦しむ人が減るよう、心を込めてお参りさせて頂きました。
順路⑭摂社・稲荷神社
癌封治の木がある向かいには、お稲荷様が祀られている小さな社があります。
あまり縁がない人はスルーしても良いとは思いますが、私は母方の家系がお稲荷様と非常に縁が深く、見かけると必ずお参りするようにしています。
順路⑮授与所
少し来た道を戻ることになりますが、先ほど紹介した「幸魂奇魂の魂石」のすぐ隣に授与所があります。
お守りやお札、御朱印などはこちらで頂くことが出来ます。
これでようやく薭田野神社境内をひと回りすることが出来ました。
1つ1つ紹介したので、とても広大な神社に感じるかもしれませんが、境内自体はさほど広くは無く、じっくり見て回っても30分程しかかかりません。
また、参拝順路図には説明がありませんでしたが、奉納殿(舞殿)前には悪病退散・癌封治のお砂もあります。(持ち帰り無料)
この砂は神社で行われる護摩木お焚き上げの際に敷いていた清めの砂であり、持ち帰って小皿等に盛り、玄関口などにお奉りすることで悪病から家を守り、癌封治に御利益があるそうです。
前回参拝した時には見当たらなかったのですが、今回は砂を持ち帰る小さなビニール袋も用意されていました。
また、神社とは直接関係は無いのですが、薭田野神社の南鳥居から東に徒歩30秒のところに、純米酒「翁鶴」で有名な「大石酒造」の蔵元直売店があります。
詳しくは>>大石酒造株式会社 公式HPも参照して頂きたいのですが、ここには観光客も多く訪れるほど美味しい地酒が販売されており、お酒好きにはたまらない場所となっています。
私はあまりお酒を好まないので、見学だけお邪魔してきましたが、直営店2階にはなんと「探偵!ナイトスクープ」で一躍有名になった「イケメンマネキン」も展示されていました。
私の記憶が正しければ、確かある女性がマネキンに一目惚れをして、その後行方知れずだったこのマネキンを探偵と共に探し出して結婚式を挙げる、といった内容だったと思います。
確かにちょっと酒蔵には似合わないレベルでイケメンですね(笑)
薭田野神社で頂ける御朱印と受付時間
薭田野神社の授与所で頂ける御朱印はコチラ。
初穂料は300円。
基本的には書置きのみでの授与となります。
ただし、この授与所が開いている時間が不定期であり、御朱印が頂けるかどうかは運次第なところもあります。
初夏に参拝した時は土日だったのですが、14時半頃には閉まっていました。
参拝の際に御朱印を頂く際は、ご注意下さい。
薭田野神社へのアクセス方法
薭田野神社へは、車・バスでのアクセスがオススメです。
車で向かう場合は、南側の鳥居を抜けたところに専用駐車場がありますので、そちらをご利用下さい。
バスで向かう場合は、JR嵯峨野線「亀岡駅」から京阪京都交通バスで約15分、「国道佐伯駅」下車徒歩2~3分です。
比較的アクセスしやすい場所にあるので、特に迷うことはないと思います。
車で向かう場合、国道9号線「余部交差点」を西に曲がり直進すると迷わずたどり着けると思いますが、道幅が狭いため運転にはご注意下さい。
別ルートとして国道372号線沿いに進む方法もありますが、こちらは薭田野神社がある道路の1本隣の通りですので通り過ぎる可能性があります。
ただし、薭田野神社への案内看板は出ていますし、道幅が広いので運転に自信が無い方にはこちらのルートがオススメです。
まとめ
☑名称
式内社 大原野神社
☑御祭神
保食命
大山祇命
野椎命
☑所在地
京都府亀岡市薭田野町佐伯垣内亦1
☑営業時間
不明
☑専用駐車場
有
利用料:無料
スペース:10台程度
☑御朱印
社務所にて頂く。
初穂料300円
☑アクセス方法
車・バスで可
バス:京阪京都交通「国道佐伯駅」下車徒歩2~3分です。
☑公式ホームページ
確認出来ず
特記事項
癌封治に御利益
稗田阿礼を祀る社がある
JR嵯峨野線「亀岡駅」から「薭田野神社」
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